音楽は演奏者を離れて。

 音楽に心が動くときのあの混じり気のない感覚はなんなんだろうかと考えています。悪い演奏ではないし技術的にも充実した演奏なのに心惹かれないことがあります。これは自分の聴き手としてのコンディションの問題かなとも思うのですが、どうもそれだけじゃない。

本当に優れた演奏は、演奏者の存在が無くなって、音楽がそこに“ある”という現象です。だから、演奏家が技術を磨くのは自分を消し去るためなのかなとも思います。音楽は、楽譜にもなくて、楽器にもなくて、演奏家自身でもなくて、誰も保持できないものとして瞬間的に、精神的に皆で共有するものだと思います。

 

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